革命
元治元年(1864年)六月下旬、昨年の八月十八日に勃発したクーデター(八・一八政変) により京を追われ、以来起死回生を謀っていた長州勢は今年の六月五日の池田屋事変により 数多くの重鎮を失うと言う大打撃を受けた。それにより幕府や会津・新撰組への憎悪が増し、 討幕急進派である一部の長州勢に挙兵を促す事となった。 「申し上げます!長州軍は既に山崎・嵯峨・伏見の三方面に布陣している模様!!」 幹部の面々が局長室にて顔を突き合わせている所に、監察方からの知らせが入った。 「容保様から命が下った!新撰組は是より九条河原に布陣し、長州軍を迎え撃つ!」 近藤が声を張り上げ号令を掛けると、隊士達も負けずに声を張り上げ意気込んだ。 「山南さん、すいませんが居残り隊で屯所の留守を預かって頂けますか?」 池田屋時に体調を崩していた山南の気遣いも兼ねて、恐縮そうに藤乃が願い出る。 まもなく池田屋から一ヶ月が過ぎ様としていたが医者として怪我や病み上がり等、本調子で 無い隊士達だけを置いて行く訳にも行かなかったからだ。 「気を使わせてしまった様だね、すまない藤乃君。勿論、任せてくれて構わないよ。  白夜も私が見ているから、安心して行って来なさい」 そう言うと山南は朗らかに笑って藤乃を送り出す。 白夜≠ニは藤乃が以前助けた仔狐の名前で、完治後何度か山に帰そうとしても藤乃に 懐いてしまい、仕方なく土方に願い出て自分の所に置く事にしたのであった。 そうしている間に戦準備が整い、竹田街道から九条河原・銭取橋付近へ出発して行った。 銭取橋・新撰組本陣 「今回も、死ぬ程待つ羽目になるんでしょうね……」 「あぁ、今回の総大将はあの豚一公だ。水戸家は尊攘贔屓だから、きっとブチ切れるぜ」 藤乃の呟きに隣に居た土方が毅然と答えた。 一橋慶喜、のちの十五代将軍・徳川慶喜は尊攘思想の基盤となった水戸学≠重んじていた。 長州に同情的であった為、二人の読み通り新撰組は二十日以上待たされる事になる。 余談だが、豚一公と呼ばれていたのは日本人では珍しく豚肉を食していた為であった。 「冗談じゃねぇ!長州軍はもうすぐ傍まで来てるんだぜ!?何やってるんだ総督は!」 原田の一声により、待機していた隊士達が次々に吐き出す不満で辺りは騒がしくなった。 「何故出撃命令を出さない、幕府の撤退勧告に従わない時点で攻撃理由は充分だろ」 等々永倉まで不満を言い出す始末、隊士達はもう我慢の限界に来ていた。 「奴等が攻めて来るのを待っているに決まっているだろ」 土方が静かに言い出す、二の句は馬に跨りながら続けた。 「万一、此方が負けても帝の命令を破って攻めて来た方が大義名分も出来るってわけだ」 「トシ!?何処へ行く!?」 急な事に驚いた近藤は声を上げた。 「心配するな近藤さん、ちょいと総督サマに直談判しに行くだけだ。来たい奴だけ来い!  但し、切腹覚悟で来いよ!!」 土方は軽い口調でとんでもない事を言い出した。 近藤は呆れ果てているが、気持ちが解る分注意はしない。その上、待つ事に飽きた血気盛んな 隊士達は嬉々としてノリ気になり、中には副長万歳≠唱える者も出て来た。 「土方さん!」 そんな中、土方を乗せて走り出す馬を追いながら藤乃が叫んだ。 「藤乃!?てめぇ、俺の邪魔する気か!」 「酷い!私だけ除け者にする気ですか!?馬になんか負けませんよ!!」 言うが早いか、自分も行きたかった藤乃は爽快に走る馬に闘争本能を滾らせ駆け出す。 「アハハハハ!俺が、悪かった!馬なんかに負けんじゃねぇぞ!!」 土方は流石は俺の妹≠ニ言う風に笑うと馬に鞭を入れ、スピードを上げる。 それを見た藤乃もムキになり、スピードを上げた。 「ちょっと、藤乃さん!?ああああ、冗談じゃない。止めて下さいよ斎藤さん!」 慌てた沖田が隣に居る斎藤を見やった。 「何故、拙者が?」 斎藤は慌てる事も無く、尤もな意見を述べた。 「あんな暴挙に出たら、会津藩にご迷惑です。容保様ならきっと助けて頂ける筈です!」 「―――……(何故、沖田君にはバレたのだ?小松君にすら気付かれていないのに……)」 そう、何を隠そうこの斎藤。本業隠密と言うれっきとした会津藩がらみの人間であった。 こうして、新撰組が慶喜の居る本陣に乱入しようとした暴挙は容保公の口利きにより事無き を得る。 因みに、この暴挙は史実にあったりする(笑) 元治元年七月十九日の早暁、待ちに待った出撃命令が出た。 しかし、長州一藩に対し幕軍数藩で開戦された戦に長州が勝てる筈も無く、次々に敗走して 行く。そんな中、ある事件が起きた。 勤皇の旗を掲げる長州が形振り構わず、天皇の御所に大砲を打ち込み始めたのである。 これにより事態は急変し、御所を攻撃した長州は帝に弓引く者 賊軍のレッテルが貼られた。その知らせを受けた桂小五郎の心中は計り知れなかっただろう、 桂は周囲の反対を押し切り、武士として潔く切腹せず、長州の汚名返上と再興を誓い、同志と 藩邸に火を放ち姿を眩ました。 「な!?藩邸に火を……!ちっ、証拠隠滅か!何を考えているんだ長州は!?」 炎上する長州藩邸を前にし、京都市中が二次災害に苦しめられる事を考えた藤乃が憤慨した。 「これは……少しまずいかもしれませんよ、藤乃さん。風も強いです」 市中が風下だと知った沖田は、隣で憤慨する藤乃に告げた。 「くっ……火の勢いと風向きから考えて、桂はそう遠くへは行っていないわね。皆は、藩邸の  反対側から桂を探せ!見付け次第、ひっ捕らえよ!!」 沖田の報告を聞き、頭を抱えた藤乃は後ろに控えていた隊士達に桂の捕縛命令を出す。 その命を受け、隊士達は各々返事をしつつ周囲に散って行った。 沖田は火の手が少ない西側を探そうとしたが、途中で藤乃に腕を捕まれ止められる。 「総司、東よ。桂は東側に逃げる」 「え?東は火の勢いが強すぎますよ、普通勢いが弱い西に行く筈です」 「えぇ、普通ならね。けどもし、私が桂だったら絶対に東に逃げるよ」 俄かには信じられない沖田に、藤乃は自分を信じろと言う様な眼で訴える。 その瞳を見て藤乃を信じ、賭けてみた沖田は東へ藤乃と共に駆け出した。 「よし、ビンゴ!待て、桂小五郎!!」 案の定、藤乃の勘通り市中の裏路地を走る一人の男の後ろ姿を眼前に捕らえた。 藤乃の声に反応した桂は後ろを振り向き、新撰組だと解った途端、走るスピードを上げた。 「逃げられませんよ、桂さん!大人しく投降して下さい!!」 横道に逸れ、先回りをしていた沖田が桂の前で抜刀しつつ、警告して止まらせる。 しかし、桂は自分の考えが読まれ、挟み撃ちに遭ったというのに嬉しそうに小さく笑った。 「(やはり来たか……)久しぶりだね、医学の姫君。昨年の八月以来だったかな?」 背を壁に預け、二人を警戒しながら文才肌の桂が言った。 「えぇ、そうですね。そんなに急いで何処へお出かけですか?自国の藩邸に火を放ってまで」 抜刀した刀を肩に乗せ、口元を吊り上げた藤乃が嬉々として笑った。 「(全てお見通しと言う訳か……)実にやり難いよ、君程の策士が敵であっては。それに君は 良介と違い、少々血の気が多すぎる。周りの環境がそうさせるのかな?」 「お願いです、抵抗しないで下さい。私は、父を知る数少ない人物である貴方を斬りたくは無い」 目線を逸らさず、逃げる隙を窺いながら苦笑する桂に藤乃は真剣に訴えるが、その途端反対の 裏路地から長州藩士と思われる二人の剣士が、桂を庇う様に藤乃達の前に立ち塞がった。 「お逃げ下さい、桂先生!此処は我等が引き受けます!!」 「ここから先へは通さんぞ、幕府の狗共!!」 「(ちっ、邪魔が入ったか)そこを退け。無駄にその命、散らす事も無い」 突然の邪魔者に気分を害し、額に薄く青筋を浮ばせた藤乃が刀を構えつつ殺気立った。 「お退きなさい、余りこの方を怒らせると楽に死なせて頂けませんよ」 「黙れ!壬生浪が!!」 沖田も藤乃の逆鱗に触れたであろう、二人の長州藩士に再度忠告するが、聞く耳を持たない。 「退く気無しか……忠告はした。私の邪魔をして、楽に死ねると思うなよ」 藤乃はそう言うと刀を構え、眼前に居る一人を睨み付け裏路地の戦闘が始まった。 数分後、無事に桂を逃走させ力尽きた二人の藩士を見ながら藤乃が呟く。 「ザコかと思っていたけど……意外と時間かかったわね」 「……これが、おとこ武士の気迫と言う物ですよ」 死亡確認をしている藤乃を見詰めた沖田は、少し寂しそうにして呟き返した。 「……だから?斬り合いは気後れした方が負ける、気迫で立っても負けは負けよ。私達に負け る事など許されない、私達に望まれるのは絶対的な勝利だけ……気迫での勝利などに何の意味 も興味も無い。桂を取り逃がした、本陣に帰る」 まだ気が静まらないのか、藤乃は袴の裾に着いた埃を乱暴に払い落とすと早足にその場を去る。 沖田もその後に続いて行った。 しかしその後、河原町御池の長州藩邸からの火災は折からの強風に煽られ、瞬く間に燃え広がり 藤乃の予想通り被害戸数約二万八千と言う酷い火災に三日間も見舞われた。 火災二日目、七月二十日。 山崎の天王山に長州の残党が居るとの情報が入り、最も被害が酷い火災の中心部で数人の隊士 達と救済活動をしていた藤乃と沖田も本隊と合流しようと新撰組本陣に向かっていた。 が、何の前触れも無く藤乃が急に足を止める。 「藤乃さん?急がないと……」 火災の被害に遭い、燃え崩れた一つの民家の前で立ち止まる藤乃に沖田が訝しげに声をかけた。 「総司…ここ、慎太の家……」 そう一言呟いた藤乃はゆっくりと瓦礫の中からはみ出している何かに近付く、沖田が戸口を 良く見るとそこには黒く焼け焦げ、異臭を放つ五〜六歳の子供の腕であった。 「慎―――………!?藤乃さん!!」 見るには余りにも惨過ぎるソレを見せない様、沖田は力強く藤乃を抱きしめた。 「放せ!まだ間に合う!手術しなきゃ、皮膚移植して、火傷を冷やして、それから…それから…」 「しっかりして下さい!もう、手遅れです……解っているでしょう……?」 目の前の現実を受け入れられず、酷く取り乱す藤乃に沖田は静かに、且つ力強く言い聞かせた。 「……私のせいだ……桂を追わず、ここに来ていればこんな事にはならなかった……」 「貴女のせいじゃ無い……お願いです。もう、その身に何も背負わないで……!」 「それは出来ない!これが私の業の道。剣を取り、医者の道から堕ちた者のなれの果て……  あ〜、タンパク質が異臭を放つ。多摩の自宅でもうたくさんだ、こんな匂い」 そう呟いた藤乃の顔には覇気が無く、弱々しく自虐的に笑った。 同刻、洛西壬生村にある新撰組屯所でも居残り組が忙しなく動き回っていた。 「わぁお!?ヤバイよ、山南さん!市中の火、堀川を越えてこっちに来るかもしんない!!」 屯所の屋根に登り、市中の観察していた藤堂が下で近所の人々を避難させている山南に叫んだ。 「平助!三条通りの方は如何だ?六角獄舎辺りを見てくれ!!」 藤堂の報告を受け、山南が下から叫び返す。 六角獄舎とは、六角神泉苑にある牢獄屋敷であり、そこには捕縛した尊攘派を多数収監していた。 「がってん!ぎゃぁ!?駄目だ、山南さん!火の粉が凄くて今日にもやられるかもしんない!」 そう言うと藤堂は急いで屋根から降り、山南の所に行った。 「まずいぞ平助、この機に乗じて脱獄する可能性がある。私は加勢に行くけど、行くかい?」 「勿論、行くに決まってるじゃん!水臭いなぁ〜♪」 そう言うと藤堂と山南は新撰組の証である羽織に袖を通し、六角獄舎へと飛び出して行く。 しかし、六角の門をくぐった二人が最初に聞いたのは途絶える事の無い無数の断末魔であった。 「山南さん…叫び声だ…叫び声が聞える……」 「あぁ……もしや、滝川奉行が……!?平助、牢に向かうけど行けるかい?」 「バカにすんなぃ!山南さんこそ倒れんなよ!」 顔を真っ青にして弱々しく言う山南に、藤堂も顔こそ青いが山南を気遣い明るく振舞う。 が、いざ牢に行ってみると牢外から囚人を役人が刺し殺すと言う非人道的な場面に出くわした。 「……何故……お止め下さい、滝川奉行!何故、情けを掛けて差上げないのですか!?」 立ち尽くして居た山南が見かねて止めに入るが、滝川の部下が持っていた槍で行く手を阻む。 「山南殿、我等とてこんな事本意ではない。だが、この者達は国賊。故に出す訳には行かぬ」 そう言うと滝川は早く楽にしてやれ≠ニ断腸の思いで指示を出す。 「お止め下さい!彼等とて思想は違えど、志高い志士。受けて初めて返せる恩だってあります!  貴方には、武士としての情けは無いのですか!?」 「ぶ、無礼な!壬生浪如き、成り上がりの分際で貴様に士道を説かれる筋合いは無いわ!!」 滝川は山南の言葉に腹を立て、抜刀しようと刀の柄に手を掛けた。 「おっと、スンマセン。手が滑っちまった」 しかし、藤堂が機転を利かせ近くにあった槍で滝川の足を引っ掛けた。当然、バランスを崩した滝川は囚人達の血で出来た血溜まりに転倒し、血まみれとなる。 その隙に二人は六角を後にするが、出た二人が見たのは火災で逃げ惑う町の人々の姿であった。 「これが、幕府の…お上のする事なのか……くっ、私達は一体何の為に戦っているだ……!!」 山南のこの悲痛な叫びは人々の混乱の中に吸い込まれて行く、のちにこの獄舎の惨劇が二人の 運命を大きく左右する出来事になるとはまだ知る由も無かった。 その後二人は、凱旋から帰って来た近藤に西町奉行の滝川に無礼を働いた事を報告した。 「ふむ、六角でそんな事が……」 そう言うと近藤は腕を組んで眉を寄せた。 「すいません近藤先生、それで俺、滝川様に思いっきり足払いかけて来たんです。もしかした  ら会津藩に苦情が行って容保様からお咎めが来るかもしれません……。無礼を働いたのは俺  です、山南さんに非はありません。ですから、切腹は俺だけにして下さい!」 「違います、近藤先生。先に滝川奉行に失礼を申したのは私です、ですから私が!」 藤堂が頑として主張するが、無論それを聞いた山南も黙っていられる筈も無く主張した。 「近藤先生、容保様に助命の嘆願をする事は出来ませんか?」 近藤の隣で静かに聞いていた藤乃が、膝に白夜を乗せたままおもむろに口を開いた。 「う〜む、すぐ沙汰が来る訳では無いから、暫らくは様子見だな。そう言えば、二人は北辰一  刀流の同門だったなぁ〜」 張り詰めていた空気を少しでも緩め様と近藤はふと、昔の事を思い出した。 「えぇ。確か、先に私が試衛館にご厄介になっていた所に平助が転がり込んで来たんですよ」 それにつられ、懐かしくなった山南も加わった。 「転がり込んだって、酷いなぁ山南さんは」 そう言うと藤堂は苦笑しながら山南を見た。 「私なんか、総司に挑んで医務室に運ばれて来た時。何処の命知らずかと思いましたよ〜♪」 何だか急に嬉しくなって、藤乃も笑って加わった。 「オイ、そこなお嬢サン!そう言う所は思い出さなくていーの!!」 思わぬ恥じを曝された藤堂が、慌ててツッコミを入れた。 さっきとは打って変わって、明るい声が辺りを包む。 しかし、文机に向かって報告書を作成している土方だけは額に青筋を浮かべていた。 「アンタ等、切腹の話をしていたんじゃねぇのかよ……。藤乃、お前暇ならこっち手伝え」 「トシ!折角、俺がはぐらかしたものを……」 その言葉に反応した近藤は土方に反論するが、対して藤乃は気付かれぬ様畳を数回小さく叩い た。 「それに、もしマジで沙汰があったら同門のよしみで二人まとめて腹を切ってもらうぜ?」 「トシ!冗談にも程があるぞ!!」 「マジマジ、俺はいつでも大マジだぜ」 「お前なぁ!!」 等々、口論を始めた近藤と土方を止める為山南が割って入って来た。 「いいんです、近藤先生。土方君の言う通りです、どちらかが生き残っても辛い思いをする だけですから」 それを聞いていた藤堂もそうそう≠ニ言う風に首を縦に振った。 「残念ながら、二人とも死ねませんよ」 先ほどから一言も喋らなかった藤乃が不意に、こんな事を言い出した。 「え、何で!?お前も俺等の話聞いていただろ?」 藤乃の言葉を聞いた藤堂が驚きつつ聞き返す、他三名も驚きながら藤乃を見た。 「実はですね、さっき監察の吉村さんから報告を受けたのですよ♪その情報によると、囚人 処刑は容保様の命ではなく、滝川奉行個人の判断による物なんだそうです」 さも、当たり前の如く手回しをし、重要情報を報告する藤乃に他の四人は心底感心していた。 先程、藤乃が畳を叩いていたのは部下への了承合図であったのである。 「床下に吉村君が居たのか……?」 「元々は桂さんの逃走経路を探らせて居たんですが、大きな収穫でしたね」 感心した土方の呟きに、藤乃自身も偶然の収穫に驚いていた。 その後、藤乃の言う通り二人には容保公の計らいにより沙汰は降りなかった。 その数日後、江戸への隊士募集の人材に、山南は一度藤堂を江戸へ帰郷させる為に推す。 「うむ。額の傷もまだ完治していない様だし、一度古巣に戻してやるのも良いかもしれないな」 「土方君も如何だろう?」 「……悪かぁねぇ。だが休暇じゃねぇぞ、唯でさえ人手不足なんだからな」 人の好い二人に、土方は忘れず釘を刺して置く。 こうして、新撰組第二期時代≠ニなる隊士募集に藤堂は故郷江戸へと旅立って行った。